チチハルの時限爆弾

ボクの人生とも背中合わせです



  

街の至る所に爆弾が仕掛けられているなんて、想像しただけでぞっとする。でも、そのお陰で、現代の中国東北部の庶民がどんな生活を営んでいるのか、ほんの少しだけ垣間見ることが出来る。
現地の警察に勤めるおっさん。軍隊に在籍していたときに、ほんの少しだけ爆発物を扱ったことがあるという理由だけで、爆発物が発見されるたびに呼び出されては、薄氷を踏む思いでそれらの除去に立ち向かう...。

人生って、リアルに時限爆弾が仕掛けられているかどうかは別にして、ほんとうにこの警察官のおっさんと一緒なんやなぁ...。
たまたま運が良くて、今の職場にもぐりこんで、窓際に追いやられることも、(今のところ)リストラされることもなく、なんとか過ごしてきている。知識も経験も乏しい中、文字通り薄氷を踏む思いで綱渡り。でも、いつ手にした時限爆弾を爆発させてしまうかもしれない。それこその、毎シーズン毎シーズン危ない賭けの連続。ほんま、ようこんなことを続けてるゎ、我ながら...。
そう思ってこの映画を観ていると、休む間もなく、銭湯に浸かったと思うと、すぐに現場に駆り出されるこのおっさん。たいしたものです。シーズンを青息吐息で何とか乗り切って、骨休めにソウルや香港へ行って、一息つくともう次のシーズンを迎えるボクみたいなもんです。

その頑張りに対する報酬は微々たるモノで、ちょっとした表彰や、上司に息子の就職先の口利きをお願いするぐらいなもんだから、プライドや責任感など精神面での支えがないとやってられない。それが文字通り命懸けなんだからアタマが下がる思いです。それに、このおじさん偉そうなそうぶりを見せないところがいいよね。

お話しとしては、やや疑問が残る。このおじさんの活躍を追うドキュメンタリーでもいいんだけど、こうして連続時限爆弾犯やその背景が何なのかをもう少し描く必要があったのではないでしょうか。そうしないと、チチハルという街は危なっかしくて、住むのはもちろん、お邪魔するのもどうかな〜と思ってしまいますよね。
それに、爆発物の処理の仕方がダイナミックすぎる! だって、河原に放り投げて爆発させるって、あんた。ちゃんとそこに人がいないとか安全確認するなんて手順はおろか、その発想すらなかったように見えるんだけど...。
若い女性の同僚や直属の上司やその他の人たちとの人間模様の描き方は、正直云ってもうひとつ。でもね、そんなこともあんまり気にならない描かれ方。まずまずの面白さではないでしょうか。まぁ、何度も観たいとは思わないけど。

おじさんの家で料理されるのを待っているあの魚たち。結局どうなったんでしょうね。

おしまい