私たちの生涯最高の瞬間/Forever the Moment

スポーツに国境は無く、胸が熱くなる



  

紹介するのがすっかり遅くなってしまい、いささか“気が抜けたビール”状態になってしまった。
でも、韓国での公開時の中盤においては実は無茶区茶タイムリーなストーリーだった。と言うのも、この映画が公開されると同時に、例の“中東の笛”問題が突如として持ち上がり、ハンドボールの北京五輪出場を賭けたアジア予選が日韓の間で再び行われることになったんだから...。
この映画を観ながら、少し古い(いや、ごっつい古い?)けど「ミュンヘンへの道」という日本で放映されていたTVドラマ(アニメだったかな?)を思い出した。これは、日本の男子バレーボールチームがミュンヘン五輪(1972年)で金メダルを獲るまでを描いたドキュメンタリータッチの番組だった。幼いボクは胸を熱くしてブラウン管に釘付けになって見たものだったけど...。

果たして日本人のボクが観ても、アテネ五輪で活躍した韓国の女子ハンドボールチームに熱くなれるのかと、いささか及び腰でスクリーンの前に座ったのだけれど、それは全く不要な危惧でした。ラスト近くの決勝戦のシーンではこみ上げてくるものが押さえられず、ボクの頬は濡れに濡れていました(恥ずかしながら...)。いやぁ、やっぱりスポーツは万国共通なんですね。
ここでストーリーを紹介してもヤボなだけ。と云うか、このアテネ五輪で韓国の女子ハンドチームが銀メダルを獲得したという認識(記憶)が無いのだから仕方ない。

主な登場人物は、子持ちのエーズ選手にムンソリ(この人ほんまに演技の幅が広い!)。一旦は引退して代表チームの監督になるものの、解任され再びコートに立つ選手にキムジョンウン(この人、こんなに背が高かったとは知らなかった!)。キムジョンウンの代わりに監督になるオムテウン。
果たして、ムンソリにスポーツプレーヤーの役が務まるのか心配していたけれど、そこはさすがに類稀なるプロ根性を発揮。きっと全身の筋肉痛に悩まされてはいただろうけれど立派にそれらしく見える、体格もいいしね。一方、これまでコメディエンヌだと思い込んでいたキムジョンウンだって、揺れながらも根性が座っている役柄を見事に演じている。
一方、オムテウン。彼には何よりも感心した。いかにもかつての日本のスポ根ものに出ていたコーチ役の風貌。そのまましっかり引っ張ってくれているのがいい!

スポーツは、ルールや相手や運も何もかも含めてスポーツなんであって、何もコンピューター同士が対戦して優劣を競うわけでもなんでもない。実際にコートでプレーするのは生身の人間同士で、すなわちその人間の数だけそこにはサイドストーリーがあるわけだ。
それが一気に収束して、コート上で火花を散らし、勝ったり負けたり、そしてメダルの色が決まってしまう。

ボクが拝見したのは、寒い土曜日の早朝(韓国の映画館では、基本的に早朝上映の回は割引料金が設定されています)にもかかわらず、このシネコンで一番大きいスクリーンは、老若男女入り乱れて八分ほどの入り(凄い!)。
すでに日本では一度上映されていますが、再びそのチャンスがあるかどうかは不明(難しいかな?)。DVDやVCDでご覧になるチャンスがあれば是非!

アンニョン!