第9回・輝ける、偽・ジェルソミーナ通信大賞

07年はあんまり観られませんでした...



  

2007年。この年はボクにとって“弱っていた一年だった”と記憶されるのだろうか?
とにかく、一年を通じてずっと忙しく、映画でさえあまり観ることが出来なかったのだから...。スクリーンで観たのが57本、VCD1本。もっとも、この数字が、多いのか少ないのかは、意見が別れるところだと思うけど...。
韓国の作品が22本とダントツで多かったけれど、国内で上映されたにもかかわらず観逃がしてしまった作品も少なくありません。まぁ、それは韓国の作品だけではなく、どこの国の作品にかかわらず多くの映画を観てないので仕方ないですね。
もう既に08年も2月の中頃に差し掛かって、観た本数も多くないのに、ようやく07年の「偽ジェ大賞」をまとめることが出来ました。

まず、欧州賞
「フランドル」「サン・ジャックへの道」「ボルベール<帰郷>」「善き人のためのソナタ」などが印象に残っていますね。その中でも随一の出来だったのは間違いなく「善き人のためのソナタ」でしょう。欧州賞はこの作品に決定。

次に米国賞
「ゾディアック」「パヒューム ある人殺しの物語」「unknown アンノウン」「リトル・ミス・サンシャイン」などを拝見しました。挙げた4作品は甲乙つけ難いものの、傑出していたかどうかは疑問。従って残念ながら07年の米国賞は該当作なしとします。

そして、チャイニーズ賞
香港の作品では「エレクション」「傷城/Confession of pain/傷だらけの男たち」「ドッグ・バイト・ドッグ」が良かったですね。大陸の作品では「墨攻」「孔雀−我が家の風景−」が印象に残ります。台湾では「ジャンプ!ボーイズ」「ラスト、コーション/色・戒/LUST, CAUTION」を挙げられるでしょうか。この中では「墨攻」に07年の賞を贈りましょう。
※「ラスト、コーション」は08年の対象にします。

韓国賞
「許されざる者」「絶対の愛」「フライ・ダディ」「密陽/ミリャン/Secret Sunshine」 「美女はつらいよ/200 Pounds Beauty/カンナさん 大成功です!」「約束/国境の南側」などが記憶に残りますね。「蜜陽」は日本では未公開で、悪くないお話しだけど、ちょっと深すぎるような気もしました。ここでは敢えてイムンシクとイジュンギの「フライ・ダディ」を韓国賞に!

じゃ、日本賞
こちらは「天然コケッコー」「夕凪の街 桜の国」「Little DJ 小さな恋」の3本が良かったですね。夏帆と福田麻由子との出会いは収穫だったかな。しかし、日本賞は「夕凪の街 桜の国」へ。泣きました...。

その他の地域では、「世界最速のインディアン」(ニュージーランド)、「ボンボン」(アルゼンチン)、「モン族の少女 パオの物語」(ベトナム)などが印象に残っています。

男優賞「善き人のためのソナタ」の“HGW XX/7”ことウルリッヒ・ミューエ。これはボクの中ではすんなり決まりました! でも残念ながら、07年に彼は亡くなってしまっています(合掌)。

女優賞には「美女はつらいよ/200 Pounds Beauty/カンナさん 大成功です!」キムアジュンにしましょう。彼女は本当に旬の女優さん。もし、今年選ばないと、今後どうなってしまうかわからないからね〜。

行ってみたい都市大賞。 ユタ州のボンヌヴィル(「世界最速のインディアン」)にしょうか、それともアルゼンチンのパタゴニア(「ボンボン」)にしょうか...。やっぱりパタゴニアにします。きっと一生行くことはないでしょうから(まぁ、ユタにも行かないと思うけど)。でも、一度は南米の風に吹かれてみたいですね。

大賞次点
「ボンボン」! そっと公開されて、話題にもならないまま、そ〜っと終ってしまったんだけど、何とも味のあるお話しでしたね。ものごっつい面白いわけでもなかったけど、心に染み入るようにリラックスさせてくれる、素朴な味わいがある作品でした。ビデオやDVD化されるのかは疑問だけど、チャンスがあれば是非!

では、例によって全く権威はありませんが、ボクが独断で選んだ「第9回・輝ける、偽・ジェルソミーナ通信大賞」。
「夕凪の街 桜の国」
どんな作品なのかは本編を読んでいただくとして、ほんとうに考えさせられるお話しでした。世界中には知らないことはたくさんある、でも、日本のことでさえ知らないことは一杯あるんだと気が付かせてくれました。(女優賞はあげなかったけど)麻生久美子はいい演技しています。一人でも多くの方にご覧頂きたいお話しですね。中学生以上くらいからなら大丈夫です。


07年はたくさんの賞を選ぶには本当に分母が少なすぎました。
少ない本数ながらも、独断と偏見で選ばせていただいた結果です。だから、いろいろご不満やご意見もおありでしょうが、それは笑って許してください。
08年はせめてもう少しは分母を増やしたいと思っています。相変らず、韓国と中国語圏の作品が中心になってくるとは思いますけどね(でも、今のところでは「ある愛の風景」が秀逸だと思います)。
それにどうやら、2008年は観るのは観ても、文書をまとめて本館にアップするのは相当遅くなりそうです。お叱りも受けそうですが、こちらもお許しをお願いしたいと思います。

振り返れば「偽ジェ」を書き始めて10年目になろうとしています。当時と較べると、観ようと思う作品を選ぶ選択の基準もずいぶんと変わったし、もちろん公開される作品群も大きく変化しています。映画館もかなり変わりました。映画を取り巻く環境そのものが大きく変化しているのです。ボク自身の行動範囲も変わったしね。

これからもなんとか頑張って「偽ジェ」は続けていきたいと思いますのです、末長くご愛顧、応援いただけますようよろしくお願いいたします。

おしまい。



◆◆ 輝ける、偽・ジェルソミーナ通信大賞 一覧 ◆◆
大賞 男優賞 女優賞 行ってみたい都市大賞
第1回(99年) 八月のクリスマス アリ少年
「運動靴と赤い金魚」
クリスティーナ・リッチ
「バッファロー66」
テヘラン
「運動靴と赤い金魚」
第2回(00年) 初恋のきた道 ホック
「フォーエバー・フィーバー」
スー・チー
「玻璃(ガラス)の城」
粟国島
「ナビィの恋」
第3回(01年) 不思議惑星ギン・ザ・ザ 朱旭
「こころの湯」
レニー・ゼルウィガー
「ベティ・サイズモア」
フィレンツェ
「冷静と情熱の間」
第4回(02年) 悪い男/Bad Guy ゲンとジュン
「able/エイブル」
宮沢りえ
「たそがれ清兵衛」
キューバのバス停
「バスを待ちながら」
第5回(03年) 一票のラブレター ティモシー・スポール
「人生は、くもりときどき晴れ」
チョンジヒョン
「猟奇的な彼女」
キシュ島
「一票のラブレター」
第6回(04年) 父と暮らせば 柳楽優弥
「誰も知らない」
寺島しのぶ
「ヴァイヴレータ」
LAのゲイバー
「コニー&カーラ」
第7回(05年) ミリオンダラー・ベイビー シュクラン・ギュンギョル
「少女ヘジャル」
田中裕子
「火火/ひび」
ウォンカのチョコレート工場
「チャーリーとチョコレート工場」
第8回(06年) 13歳の夏に僕は生まれた ファンジョンミン
「君は僕の運命
ユア・マイ・サンシャイン」
アンニ・クリスティーナ・ユーソ
「ククーシュカ
ラップランドの妖精」
ヘルシンキ
「かもめ食堂」
第9回(07年) 夕凪の街 桜の国 ウルリッヒ・ミューエ
「善き人のためのソナタ」
キムアジュン
「美女はつらいよ
カンナさん 大成功です!」
パタゴニア
「ボンボン」