ブルー・レクイエム

オリの中に自ら入るのには...



  

「?」が点滅しながらも、説明は無く、やや強引にお話しは始まっていく。
中盤以降になって、ようやくお話しのパーツがつながり、物語りの全貌が明らかになっていく。

日本でも現金輸送の現場は同じようなものなんだろうか?
先日、コンビニに設置してあるATMに現金の補充をしていた輸送会社の係員の姿は目にしたけれど...。
今まで、日本では現金輸送車が武装した集団に襲われるなんて考えもしなかったけれど、最近では日本でも何でもあり、ある意味諸外国よりも過激な事件だって起きてしまう。ひょっとしたら、明日にでもバズーガ砲とショットガンで武装した集団が、現金輸送車を強奪してしまう事件が起こらないとも限らない...。

現金輸送を専門に扱う会社に中年の男アレックス(アルベール・デュポンテル)が採用され、勤務を始める。彼の視線を借りて、この会社が行っている日常業務の流れとメンバーが紹介されていく。そうこうしているうちに、どうしてこのアレックスがこの会社に入ってきたのかが、何となく予想が付きはじめる。
それにしても、現場には緊張感が薄い。自分のものではない現金は、単にちょっとやっかいな荷物程度にしか扱われないことがよくわかる。「なるほどなぁ」もちろんボクも大量のキャッシュを持ったことも運んだこともないけれど、慣れてしまえば現金が入っている布袋も、単なる重い袋の塊にしか過ぎないのだろう(ひとつくらいボクも欲しいけれど...)。

明るさよりも暗さが目立ち、ダークな画面。
「そうか!」視線を少し変えて見てみると、現金輸送車っていうのは、オリの中にいるのと同じことなんだ。保護されているのか、隔離されているのかの違いはあるけれど...。
この会社では何度か、特に最近は続けざまに襲撃に遭っている。その襲撃が成功したのか失敗したのかにはかかわらず、手荒な事件に巻き込まれると、会社(仕事)を辞めてしまう。そんなに高給でもなく、その割りに生命を危険に晒すリスクは大きい(実際その通りだろうな)。
オリの中の人間模様。そして、オリの中に入ってきた理由。現金が入った布袋がモノではなく、やっぱり輝きを持って見えてくる...。それらが噛合いだしてエンディングへ向けて大きくお話しは動き出す。

気になるのは、キャラクターの設定に明確さがないところかな。主人公アレックスのキャラが立っているだけに、他のメンバーがどれも似たり寄ったりで弱いのが気になる(ボクの記憶力が悪いだけかな?)。女性の同僚なんかは、思わせぶりだけで終わってしまうしなぁ...。
しかし、この仕事ってこんなに年配の人が多い仕事なのかなぁ? ちょっと心配ですね。

十三のナナゲイ。最終日の最終回。思ったより人が多くて20名ほど入ってました。上映はもう終わってしまったけれど、フランス系のアクション作品が好きな方にはいいかもしれません。でも、スカっとはしないけどね。そう遠くない将来にビデオやDVDになると思います。

おしまい。