菊花の香り/世界で一番愛された人

バクが紡いだストーリー


  

この映画は韓国版DVDを英語の字幕で見ている。その上、原作の日本語訳も読んでしまった。
それにもかかわらず、こうして映画館へ行き、日本語字幕付きで観てた。そして、恥ずかしながらエエ歳をしたおっさんが頬を濡らせてしまうとは...。

スクリーンはキネカ大森。ばらく来ないうちにシートが良くなっていた。
ボクは川崎から京浜東北線で移動。息を切らせて駆けつけた。
窓口でチケットを買うときに「混んでますか?」と尋ねたら「混んでません」と一言お返事。
ここでは一番大きなスクリーンを使って30名弱の入り。日曜の昼下がりでこの数字はやっぱり淋しいね。いわゆる韓流スターも出てないし、割と地味なお話しだし、こんなものかも...。ボク自身も日本での劇場公開は「?」と思っていたほどだから。

確かに生活感やリアリティさが稀薄な、まるで夢を喰っているバクが紡いだようなストーリー。
生活やお金に困っているような様子はまるでない。でもだからと言って、そういう人たちが幸せかというとそうでもない。そこへ次から次へと不幸が襲いかかる...。
そしてようやく掴んだかに見えた幸せは、はかないものだった。

わかっちゃいるけど、涙が止まらないのはお恥ずかしい限りですね。

一途な男をパクヘイルが好演している(最初にDVDで見たときは、パクヘイルが出ているとは思っていなかったので、ごっつい驚いたんだけど、今回は心の準備が出来ていた)。少し、見直しました。次回作の「人魚姫」も期待できそう! だいたいチョンドヨンと共演した男優は成功しているしね。
もちろんチャンジニョンもいい。この人は「シングルス」のときが一番かわいいと思ったけれど、こうして見直すと「菊花の香り」でも悩める若き女性を好演してますね。ソンソンミも陰ながらいいです。
登場人物はほとんどこの三人でカバー出来てしまう。離島に住むサークルの先輩(男の方)も、名前は知らないけれど時々見かける顔ですね。

原作を読んでしまっているからわかるんですが、映画で「香り」を表現するのは難しいものなんですね。イナ(パクヘイル)が、地下鉄のホームでヒジェ(チャンジニョン)とすれ違う。その時にイナに届いた香りこそがこの作品のタイトルなのに、映画の中ではさらっとも触れられていない(別の香りはちょっと出てくるけど)。

大阪ではもうすぐガーデンで公開されるようですね。
確かにスターは出ていないし、こんなお話しもあるんだなという程度のメロドラマです。でも、ボクはそこそこオススメ出来ると思っています。
映画を観て気に入ったら、是非原作も読んでみてくださいね(原作→映画という順番でも可)。
お時間がない方は、ビデオになってからでもOKですょ。

おしまい。