「無間道III・終極無間/Infernal Affairs III」

評価は待ちたい


  

日本でも大ヒットとなった「インファナル・アフェア/無間道」。その続編が、続々と作られ公開されている。香港の映画には柳の下にドジョウがうようよいるようだ。
「2」はトニー・レオンとアンディ・ラウの少年時代が描かれていたそうだけど、残念ながら上映はすでに終了していた(あちこちでポスターなどは見かけたけどね)。
そして「3」は「1」の後日談が語られている。
それでなくとも超豪華な出演陣に加えて、今回はレオン・ライまで出てきて、スターのテンコ盛り状態だ。その広げすぎた大風呂敷をどうやってまとめていくのかと思ったら、それはそれで何とかなっている。いささか強引のようにも見えたけどね、まぁ見事なものです。
これは「2」「3」ともに間違いなく日本でも公開されます。お楽しみに!

若くして、10年20年先を見越して組織に送り込まれた警察官。同じく警察学校へ入り、エリート警官の道を進む組織の人間。そんな二人の姿と対決を描いた「1」。ヤン(トニー・レオン)に自らの立場を知られたラウ(アンディ・ラウ)は、もう一人の組織から送り込まれた刑事に助けられ、その立場を守る。ここまでが「1」のお話しでしたね。
ところが、そんな彼を怪しいとマークする人間が警察の中にいた。その人間こそがレオン・ライ。
重圧から解放されたラウは公式には自由な身になり、職場に復帰する。しかし、執拗に自分をマークするレオン・ライの視線がいつも背中に張り付いている。
ラウは、かつてヤンのかかりつけの精神科医だったケリー・チャンに接近していく。ヤンが唯一ぐっすり眠れると話していた診療所の長椅子に横たわるラウ。そんな姿にヤンをダブらせて、ケリー・チャンはいつしかラウに惹かれて行く。最初は探るつもりで接近したラウも、サミー・チェンとの結婚生活に破れたからか、次第にケリー・チャンに心を許していく...。

ラウの気掛かりはヤンが入手していたテープの行方。あのテープは彼の命取りだ。ひょっとしたらあのテープをレオン・ライが入手しているのではないか。そんな猜疑心がむくむくと湧きあがる。ラウはレオン・ライのオフィスに隠し撮りのカメラを設置する。
アンディ・ラウとレオン・ライのじりじりとするような神経戦(腹の探りあい)はなかなか見事に描かれている。でも、レオン・ライに悪役というか刑事役は、何だかちっとも似合わないような気がするなぁ。

そして、時間は少し巻き戻る。ヤンがまだ生きていた頃。サム(エリック・ツァン)がブツの取引にヤンをたった一人で港に向かわせる。サムは本当はこの取引をする気は無かった。ヤンは捨て駒にされていたのだ。
だが、ヤンは生きて帰ってくる。その現場に居合わせた チェン・ダオミンとレオン・ライに助けられたのだ(何故? どうして?)。
この一件以来、 チェン・ダオミンがフィクサー役で画面に現われはじめる。

派手なアクションよりも、どちらかと言うと目でものを言う。じっくり追い詰めていく。そのくせ、結局はやるかやられるのか、どちらか一つだ。

確かに見応えのある役者が揃い、演技も演出も決まっている。でも、これは続編の宿命か、後から付け足されたレオン・ライと チェン・ダオミンがどうも浮いてしまっている、しっくりこないような気がするなぁ。
レオン・ライの役どころは、もっと別のところにいてクリーンな立場で内部監査の長で良かったような気がする。
まぁ、いずれにせよ、アクションより表情と台詞重視のこの作品。字幕を追うのが必死でゆっくり表情などを観ている余裕などなかった。それなのに台詞は半分も理解できていない。ちゃんとした評価は日本語字幕付き上映されるまで待ちましょうか。

同じく百老匯旺角(ブロードウェイモンコック)で拝見したのですが、2/3ほどの入りでした。クリスマス後とは言え、金曜の晩。もうちょっと入っていても良かったのかも。あんまり熱気は感じなかったなぁ。それでも上映回数は凄い数になっているけどね。
同時に公開されていた「指輪物語/王の帰還」は各回満員御礼のようでしたけどね。

次は、翌日に湾仔(ワンチャイ)の影藝戯院(Cine-Art House)というこじんまりとしたスクリーンで拝見した作品をご紹介する予定です。

おしまい。