「地下鉄/The Sound of Colours」

ミリアム・ヤンは“旬”


  

一日早い冬休みに突入して海外脱出。いろんな事情があって、お正月は自宅にいなければならないので、まず香港で3泊、それからソウルへ移動して大晦日に関空に戻って来る計画。
関空にはボクのように一足早いお休みを取った人が少なくなかったようで、カウンターにも、手荷物検査場にも長い列。飛行機もほぼ満席。世の中そんなに景気は悪くないのかな?
香港上空の天気は悪くなかったけれど、どうもモヤがかかっていて遠くまで見ることが出来ない。上空からの景色もなんだかイマイチでした。山が見たかったのにな。
それにしても、あの満席の人たちはどこへいってしまったのでしょう? 以前ならどこにでも日本人がいたのになぁ。今回、ボクが会ったのは上環のお茶屋さんでお会いしただけでした。皆さん香港経由でSARSの心配が無い街へ行ったのでしょうか(それはどこかなぁ?)。
いつも泊まっていた旺角のグランドタワーホテル(雅蘭酒店)が廃業してしまい、仕方なしにいろいろ当たった結果、チムサーチョイのMに予約してある。立地と価格の割に広い部屋だったのでまずまずかな。ちょっと変わった部屋だったけどね。いろんな意味で歴史を感じさせるホテルでした。
行きしなの飛行機の中で貰った新聞とインターネットで今上映中の映画はチェックしてある。何本か候補を上げてあるけれど、今回の香港の目玉は山歩きにあるので、そんなに多くは観られそうにない。

まず向かったのは何度か行っている百老匯旺角(ブロードウェイモンコック)。ここに来るといつも思うんだけど、火事になったら、まず逃げられへんなぁ。まぁ、そうならないことを祈るしかないけどね。

「地下鉄」英語の題名は「The Sound of Colours」。主演はトニー・レオンとミリアム・ヤン。場内は半分も入っていないくらい空いているなぁ。
このミリアム・ヤンという女優さんは、今が「旬」なのでしょうか、「安奈武林」という同時に公開されている映画にもイーキンと一緒に主演している(ボクは彼女のことを「ラブソング」のクリスティ・ヤンと同じ人だと勘違いしていた。苗字も一緒だし、何か見た感じが似ていると思いませんか?)。

ミリアムは目が見えない。だけど、勇気がある盲人だ。父親のラム・シューと同居しているものの、ほぼ何でも自分で出来るし、外出だってする。そんな彼女がふとしたキッカケで電話をし、知り合うのが街で恋人斡旋業(どんな商売や!)をしているトニー・レオン。
トニーはミリアムに恋人を紹介すると言いながら、待ち合わせ場所には本人が出かけていき、ちゃっかりデートしてしまう。いつしか淡い恋に落ちる二人だが...。

そこへどうしたことだか、舞台が台北に切り替る。クリスマスの前。誠品書店。ここは台北でも何軒かあるお洒落な大型書店だ。チャン・チェンはちょっとした天使の悪戯から、片思いの彼女に振られてしまい、何故か自分宛てに来たクリスマスカードを手に上海へ出かける。そのクリスマスカードを出した人はドン・ジェ(「至福のとき」で盲目の少女を演じていましたね)。
この二人の恋の行方もメルヘンチックに語られていく。

しかし、何やねぇ。このお話しは、クリスマスを前にして恋する若い二人が肩寄せ合って観るにはいいかもしれなけれど、40過ぎたおっさんが独りで淋しく観るにはどうもなぁ...。
他愛の無いストーリー展開と強引にくっつけたような台北と上海のパート。香港パートとの接点が無さ過ぎて意味があるようには見えない。この程度なら、別にトニー・レオンとミリアム・ヤンのエピソードだけで充分だと思うのはボクだけではないでしょう。確かにドン・ジェが綺麗になったのは認めるけどね。
香港パートのお話しも、正直言って踏み込みが浅くて、ストーリーよりも役者(トニー・レオン)の魅力だけで持っている感じ。もう少し心の機微を表現して欲しかったし、自分がもらったキャンディをミリアムのためにもっと必死になって探してもらいたかったなぁ。

ちょっと欲求不満が残るこの作品ですが、まぁ、それなりには楽しめたかな。
このストーリー、実は原作があって、台湾の絵本作家ジミーという方の書いた「地下鉄」という絵本だそうです。
ボクの印象では、ミリアム・ヤンが今後日本で大ブレークしたらともかく、そうでなければ日本での公開は苦しいと思います。
次回は続けて観た「無間道III・終極無間/Infernal Affairs III」をご紹介します。それにしても、香港で映画を観ると字幕を読むだけで終わってしまうなぁ...。

おしまい。