「オールド・ルーキー」

夢をあきらめないで


  

久々の試写会へ行ってきました。お正月映画第二段で公開予定のディズニー映画。実話がベースだという実写の人間ドラマ。ボクはそんなに熱くならなかったけれどなかなかの感動作であることは間違いありません。

アメリカンドリームもの(まぁ、そんなジャンルがあるのかどうかは知らないけど)。
高校で化学の教師をしているジム・モリス(デニス・クエイド)は元プロ野球選手、投手だったが肩を痛めて投げられなくなってしまった。学校では授業の傍ら野球部のコーチをしている。ここテキサスではフットボール(もちろんアメリカン・フットボール)は盛んだが、野球はそんなに人気が無く、クラブ活動も冷遇されている。そして、チームも弱いし、部員も少ない。3年前から各シーズンのリーグ戦で1勝ずつしか挙げられてない。
今年のリーグ戦も緒戦を大敗してしまう。そんなチームに「負け犬になるな、夢を忘れるな」と喝を入れるジムだが、逆に生徒たちから「コーチだって夢を忘れている」と意見されてしまう。そしてこのチームが地区優勝したらジムはプロ球団の採用試験を受けることを約束してしまう。
なぜかコロっと変身を遂げたチームはあれよあれよと連戦連勝。またたく間に地区優勝。夢を実現した生徒から「次はコーチの番だ」とはっぱをかけられる。
35歳、子供3人を引き連れて試験会場を訪れたジムは、顔なじみのスカウトに出会って冷やかされてしまう。そこで快投を披露するジム。引退してから肩を休ませていたからか、以前よりスピードが増している。
妻には黙って試験を受けた。妻との葛藤と理解。2Aからのスタート。2Aの給料では生活もままならない。そんな現実の前に一度はくじけそうになるジム。遠征に次ぐ遠征で身体も心もバラバラだ。でも「もう少しだけ」と夢を追いかける。そして、とうとう上から昇格の声がかかる。地元テキサスでのゲームだ。
35歳の遅れてやって来たオールド・ルーキー。ジムはメジャーリーガーとして地元でマウンドに上がる。スタンドには妻や子供はもちろん、教え子や地元の顔なじみが揃い、ジムに大声援を送る。

ざっとこんなストーリー。
映画を観なくても、だいたいこんなお話しとちゃうかなと思ったとおりの展開。もっと感動作だと思っていたのに、どうして熱くならなかったのか? 
スポーツ物は個人の努力だけではなく、身内や周囲からの暖かい援助や声援、そして愛が必要なのはわかる。でも、もっとも大切なのは本人のたゆまない努力が結果として花開くことだと思う。この作品ではジムの妻や息子、そして親や周囲の声援、教え子達の快進撃などでジムの周囲で盛り上げて支えていく事に力点が置かれすぎている。
ジムの教え子達はどうして急に強くなったの? 昨日まで高校教師だった中年のおっさんが急に大リーガーになれるのか? 夢を忘れずに追いかけることだけで夢はかなってしまうのか?
どう努力したのか、必死なのか、心だけでなくフィジカルにどう頑張ったのか、それをもっと見せてくれないと共感しにくいよね。
いいストーリーだけに、ちょっと惜しいな。

お時間があればご覧になっても損のない作品だとは思います。来春の1月18日から公開されるようです。

おしまい。