鯛飯

桜鯛の季節には豪快な鯛飯を食らおう!


  

「春のレシピを...」というリクエストを受けながら、ダラダラと日は過ぎてしまい、もうすっかり春本番。
相変わらず駄目ですね。ようやく重い腰を上げて今回は『鯛飯』を紹介しますね。
実は、ちっとも難しくなくて、意外とカンタンに作れて、見た目も美しく、美味しい。それに喜んでいただけるのが嬉しい! しかも、今は“桜鯛”の季節です(もう、ちょっと遅いけど)。さぁ、今から魚屋さんへ走りましょう!。

  

どう? 美味しそうですか?
こちらの鯛は“加太のチャリコ”ちょっぴり自慢

  

■用意するもの

●(1)鯛
●(2)お米 今回は2合
●(3)薄口醤油・みりん・日本酒・だし昆布・花かつお
●(4)土鍋

  

■準備

●A●
鯛は用意する土鍋の大きさにあわせて買いましょう。本当は買うのではなく、紀淡海峡の荒波にもまれ、締まった加太の鯛を釣ってくるのがベストですが、なかなかそうは行きませんね(残念)。
大きさは、土鍋にアタマから尾びれまですっぽり入るものが好(ハオ)です。だから鯛と言うよりもチャリコですね。土鍋の大きさにもよりますが、20センチまで、18〜15センチがベストでしょうか。
この鯛を傷つけないように丁寧に扱い、ウロコを取り除き、エラと内臓を出します。お魚屋さんによっては、そこまでやってくれます。小さいサイズですからご自分で下ごしらえしてもカンタンです。
もし、鯛を丸ごと売っているお魚屋さんが近所にない場合は、もちろん切り身でもOKです。この場合も、ウロコが残っていないかもう一度チェックしてください。でも、今後のことを考えて、切り身ではない魚を売っているお魚屋さんを一軒は見つけておいてくださいね。
鯛は養殖ものと天然ものがあります。この時期は鯛が最も売れる時期なので、まずあります。養殖ものはどこか丸みを帯びていることと、最も顕著なのが“日焼け”です。養殖ものは海の浅い場所で飼育されるので、日焼けしてしまうんですね。赤黒いです。天然ものは深いところにいるので、綺麗なピンク色をしています。比べると一目瞭然ですょ。
天然でも値段はピンからきりまであって、高いのは釣りもの、安いのは網で取られたものです。今回の鯛飯では繊細な味の違いが出にくいので、安い方でOKです。もっとも18センチほどなら、そんなに小さな養殖ものは店頭に出ないので、きっと天然ものになります。安くて1,000円ほど、高ければ10,000円ほどからでしょうか...。やっぱり鯛は高いね。ですから、養殖ものの切り身でもOKなんです。
下ごしらえが終われば、ごくごく軽く塩をして寝かせておいてください

●B●
お米をきっちり計って手早く洗います。ザルに取って水を切っておいてください

●C●
だしを取りましょう。お鍋に水を張り、昆布を二かけほど放り込みます。出来れば一晩は起きたいところですが、めんどくさいので、すぐに火にかけ沸騰する寸前に昆布を抜きます。お湯が冷める前に花かつおをガバっと一掴み投入し、沈んだところで綺麗に回収します(ふきんで漉すのがいいですね)。これを常温まで冷やします

  

■さぁ 作ろう!!!

●イ●
軽量カップを使います。まぁ、そんなに神経質になる必要は全くありません。
今回はお米が二合ですから、180×2×1.2=432ccが必要な水の量になります。カップに日本酒30cc、みりん30cc、薄口醤油50ccを入れ、先程作って冷ましただし汁を432ccになるように足していきます。これを適当に混ぜておきましょう。

●ロ●
土鍋に洗ってザルに取っておいたお米を入れ、そこに1)で作っただし汁を静かに入れます。そこに下ごしらえした鯛をアタマが左を向くように入れます(切り身の場合は、皮を上にして)。土鍋の大きさにもよりますが、お米も鯛もひたひたになるくらいの水加減になるハズです。まぁ、細かいことは気にせずにね。そして、昆布をニかけ投入します。

●ハ●
土鍋に蓋をして、ガスレンジにかけます。“始めちょろちょろ、中ぱっぱ”は本当のお話で、最初は土鍋が全体的に暖めるように、弱火で、3〜5分ほどしたら一気に強火にしましょう。ぐらぐら言ってきて、湯気や吹きこぼれてきても我慢。土鍋のフチに水が上がってきたら、中火にして、最終的に弱火に戻しましょう。全体で15分〜18分ほどでしょうか。
目安としては「弱火で3分〜強火で8分〜中火で2分〜弱火で2分」。そんなに神経質になる必要もありません。強火の時間が長すぎると、おこげがたくさん出来てしまうだけのお話しで、最初から上手くいくわけがありません。土鍋やガス台の個性もあるでしょうしね。
IHは使ったことがないのでわかりません。電磁調理台ではなく、カセットコンロでチャレンジしてください。
最後に、10分ほど蒸らします。火を止めたときに、土鍋のフチに水があっても、スゥ〜と引いて行って問題ありません。ポイントは、決して土鍋の蓋を開けないことですね。

●ニ●
よだれを垂らしながら、待つこと10分。さぁ蓋を取りましょう。写真のようになってますか? 身をほぐしてしまう前に、この炊き上がった状態で会食者全員に見てもらいましょう(場合によっては記念撮影も!)。「これ、昨日加太で釣ってきてん!」と自慢しましょう!。もっとも、加太では相手にしてもらえない、キープするか悩むサイズなんですけどね。

●ホ●
鯛飯を食べるときにとっても大切なのは、骨やウロコを丁寧に全て取り除くことです。幸い、鯛の骨はとても取り易いので助かります。細かい骨も丁寧丹念に取りましょう。これだけは神経質になってください。食べるとき、口に骨やうろこが入ったらこれまでの全てが台無しになります。

●ヘ●
よくかき混ぜていただきましょう! どう? 美味しい?!

  

■補足

いつもいつも鯛が手に入るわけではないですよね。実はボク自身もいろんなお魚で作って見ました。
鯛以外でいいのは鱸(これは切り身で充分)、身が厚い舌平目もなかなかいいです(こちらは下ごしらえがとてもカンタン!)。サワラも試したのですが、こちらは身の繊維が緻密で、魚飯にもう一つ合わないような気がしました。基本的には白身のお魚だと何でもいいと思います。
アレンジとして「こりゃええなぁ」と思ったのがアサリです。アサリをたっぷり入れると、いいだしが出て、美味です。食べる前に細かく刻んだアサツキ(極細のアオネギ)をたっぷり入れると、さらにいい感じです!

もうひとつ。だし汁を毎回作るのもめんどくさいことです。そうなると、香りはなくなってしまいますが、だしを取らずに、水加減するときにみりんと薄口醤油を少し大目にして味を整えてもOKです。
何度かチャレンジして、水加減、味加減、火加減を自分でアレンジしてください。土鍋で炊くご飯は電気炊飯器で炊くものとは、一味も二味も違っていいものです。ついついご飯が進んでしまうんやなぁ...。

さぁ、今から作ってみよう!

おしまい。