「ラストサムライ」

15/Mar./2004

  

渡辺謙がアカデミー賞で助演男優賞にノミネートされて話題になった「ラストサムライ」。2003年のアメリカ映画。
梅田ピカデリーで観て参りましたが、まだそこそこ人は入っているようですね。

一言でいうと面白くも、面白くもない娯楽作品。

おそらく日本の明治時代初期をあたりを舞台にしているが、アメリカ人将校であるトム・クルーズが日本政府の軍隊の訓練の為にはるばる日本へやって来る。
そして戦う相手は旧時代に固執する日本の武士達。欧米列国によって急速に先進する日本の中で、時代に取り残される侍たちがなおも新政府に反抗しているというのだ。

最初の戦いで、霧に紛れて迫り来る騎馬軍団のシーンはなかなかの迫力。徴兵された農民達が怖れをなして混乱してしまうのも無理はないと納得できる出来映え。
しかもその戦いで政府軍は惨敗し、トム・クルーズは敵に捕まってしまう。
敵の手に落ちたトムだが、彼は殺されず武士たちの本拠である村で囚われる。そこで彼は侍たちの長である渡辺謙や他の人々との出会いによって、武士道に目覚め? 共に刀を取って戦うことになるのだ。

と、まぁそんなお話なんだが、冷静に考えてみるとこの映画は歴史的事実も時代考証も何も無い、滑稽無燈なストーリー。別に武士の生き様とか、単純な善悪とかが描かれているわけでは無い。
渡辺謙がどうしてそこまで武士道にこだわるのかが最後まで分からないはもちろん、トム・クルーズが目覚めた理由もわからないまま。侍とは?なんてこの作品には触れられてなかったような気がするが。

この映画を観て“これぞ日本の侍魂”なんて思いたくもないし、同じ日本人にも思われたくないなぁ。
よくぞこんな映画撮ったもんだ、と思ってしまうけど、これは日本の映画じゃなくてアメリカ資本のハリウッド作品だからかな。

渡辺謙の演技が評価されたというが、どうも僕にはピンとこなかった。どっちかというとトム・クルーズの方が頑張っていたように思えたけどね。

次回は「フルタイム・キラー」をご報告します。