「名もなきアフリカの地で」

20/Nov./2003

  

今回は「名もなきアフリカの地で」2001年ドイツの映画。昨年の第75回アカデミー賞で外国語映画賞に輝いた感動の作品(ちなみにチャン・イーモウ監督「HERO」もノミネートされていた)。ぼちぼち空いてきたシネ・リーブル梅田で観てきました。

第二次世界大戦直前、ドイツに在住するユダヤ人のある家族がナチスの迫害から逃れ、遠くアフリカの地へと渡ってくる(「名もなきアフリカ」とは謳っているが、場所はケニア)。
広大な原野の中にポツンと建つ一軒家に父と母、そして幼い娘の三人家族と、現地で雇われた料理人の男で暮らす。ドイツにいた頃の裕福な暮らしに比べ(ユダヤ人には裕福な人が多かったそうです)、ここアフリカでの生活は想像以上に厳しく、細々と農場を営む日々だ。

弁護士という仕事に携わってきた父親のヴァルターは、ここアフリカでの生活に彼の知識は全く役に立たない。ドイツに残った祖父達を心配しながらも、家族のためにここアフリカで生活していこうと考えるが、馴れない暮らしに母親のイエッテルは不満を募り、夫婦の心はすれ違ってゆく。
その一方で幼い娘レギーナは料理人のオウアとも打解け、現地人の子供達とも仲良く遊ぶほど好奇心旺盛、豊かな少女へと成長していく。

価値観の全く異なるアフリカの地で、少女の成長と家族の心の絆、そして現地の人々との交流を描いた暖かいお話しだ。
さすが、アカデミーで外国語映画賞に輝いたことだけある、観どころある作品。なかでも幼いレギーナがホンマに可愛い! こんな子なら僕も子供が欲しいなんて思ったりしてしまった。いやぁおそれいった、ちょっと反則に近いよなぁ。

しかし映画は2時間半に及ぶ長さ、ちょっと疲れたかな。
第二次大戦中のナチスのユダヤに対する虐殺を題材にしたホロコーストもののひとつでありながら、遠く故郷を離れたアフリカの地で暮らす夫婦がそれぞれ思う望郷の念を描いていて、またそれによってすれ違う夫婦の心の動きを描いた恋愛ものであり、小さな少女がアフリカで体験した現地の人々との交流を暖かく描いた話でもある、兎に角、内容がてんこもり。
少女が成長したあたりの2時間ほどにしておけばちょうど程よく感動できたんだけどね。

でも観ても損のない、いい作品だと思います。

次回は「藍色夏恋」をご報告します。