「黄龍/イエロードラゴン」

02/Jul./2003

  

今回は天六ユウラク座にて「黄龍/イエロードラゴン」、2002年の邦画。「クローサー」で奮闘したアクション俳優倉田保昭総制作指揮による作品。
この日は公開初日。ここ天六ユウラク座で舞台挨拶が行われる。上映30分前に劇場に辿り着くと、なにやら何時もと違う雰囲気。すでにスタッフが何人かいて動き回っているし、Tシャツも売ってたりしている(欲しい?)。ユウラク座の狭いロビーにも人だかり、ホールに入ってもすでに前の方の座席は埋っているではないか。舞台挨拶とはいえ天六にこれほど人が集るとは思わなかった。観客も子供も年配もおばちゃんも普段映画なんて観ない人も老若男女を問わず、1人で観に来ている若い女性もちらほらいるほどだ。上映始まる頃にはほぼ満杯で、立見も出てたと思う。どう見てもこの作品やキャストにそんなに人気があると思えないけど、宣伝がうまくいってたんだろうね。

さて映画の本編、予告編無しにいきなり上映(天六は幕が上がりきる前からもう始まり出す)。
“イエロードラゴン”とは、人間の肉体能力を飛躍的に向上させる新薬。その根拠はよくわからないが、それを飲んだ人間はワイヤーアクションでバンバン飛びまくって戦える。でも肉体が蝕まれやがて死んでいくという副作用付き。 悪い組織がそれを開発したが、副作用を抑える抗体が必要だということ。
その抗体を持つ人間が世界に1人だけいる。それが北京在住の少女、宮本真希。
倉田保昭はイエロードラゴンを撲滅させる為に組織を作った男。過去にいろいろと因縁があるらしい。どうやって資金を集めたのか、村落の一軒家の地下に巨大な秘密基地を造っている。部下は照英ともう1人誰か。何故、今頃になってなのか、宮本真希を探し出して彼女を悪の手先から守ろうとしている。

この映画、正直いってストーリは二の次、まるで訳がわからない。テロップまで流れて紹介する紫禁城や万里の長城でも撮影もあまり意味が無い。最初の出だしのアクションはワイヤーばんばんに飛びまくってて面白かったのに、全 体的なお話はどっちかというと人間ドラマが中心。そんなに繊細な演技が出来るキャストでも無いので、ちょっと眠たいシーンが続いてしまう。
それでもアクションはやはり一番の観所。倉田保昭はもちろん「クローサー」の時の方がもっと激しくてよかったかな。
照英はまったくもってフツーのにいちゃんの役でアクションもフツー。他に、宮本真希がかなり体をはってアクションを演じてたのはかなりいいね。日本人女性でここまでやった人はそういなかったでしょう。

結局映画そのものはわけのわからんままドタバタ戦って終わってしまった感じ。出演者からしてドラマ部分よりアクションにもっとこだわって欲しかったな。

さて上映が終わって舞台挨拶が始まる。まず照英、次に倉田保昭の登場。宮本真希は体調不良とかで本日は欠席。最初、倉田保昭は意外と背低いんやなぁーとか思ってしまった。が、違う、照英がやたらとでかいんやね。
トークの内容はロケは北京で3ヶ月行ったとか、その時期は黄砂でホテルの部屋の中まで毎日砂だらけだったとかそんなんだったと思う。
面白かったのは照英のキャラクタ。この映画ではわかりませんが、かなり面白い人です。実直というか、天然というか、年もまだ20代と若い。
肝心の倉田保明は、司会を務める女性が慣れてないのか段取りが悪く(そこが面白おかしいところだったにしても)、昭栄ばかりに話を振っておいて、倉田保昭は全然話す機会がなかったまま終わってしまったのはちょっと失礼やね。

しかしながら今回の舞台挨拶も含めた上映、実に腹が立った!
先ず天六は入場制限をしていないから、続々と観客が入ってくる。映画が終わるクライマックスにさしかかる頃には、おそらく舞台挨拶だけ観に来ましたっていう客が入って来て座席を探して場内をウロウロし始めやがる!
そして、上映が終わっていざ舞台挨拶が始まるという時に、なにやら配給か宣伝かスタッフが場内整理をし始めている。よく観ていると、ぽつぽつと空いている座席を探して後から来た客を座らせているようだ。
それはまだいい。でも、すでに座っている観客に対して席を移動してくれと詰めさせているではないか。おいおい、最初から映画を観に来ていた客に対して、舞台挨拶の時にだけ席を移動してくれとはどういうことや! おまけに僕のとなりの席には、どうみても愛人としか思えない若い女性と運転手かと思われる男を連れた禿親父がVIP待遇かのように案内されて座ってきやがった。いったいどうなってるんだ! 並ぶのも映画を観るうちだろ! なんちゅーイベントや! 僕が主催者側なら絶対こんなことはさせないね。
けっこう期待していた1日だったけど、映画本編はもとよりそんなに期待してなかったのでともかく、舞台挨拶も腹が立ったので残念でした。
翌週の倉田保昭トークショーの方がまだ面白そうだったかな。

続いてシネフェスタでの「ミレニアム・マンボ」をご報告します。