台風太陽 〜君がいた夏〜/The Aggressives

若さがあふれ出るのが、青春。



  

「国境の南側」に出ていたチョイジンが出演している。林檎日記さんに教えていただきました。
暮れにソウルへお邪魔したとき、場末にあるお店で投売りされている新品のDVDをみつけ、そのまま購入したものを観ました。

ソウルだけではないと思うけど、韓国ではDVDやCDを売っているお店はどんどん姿を消しています。今ではCOEXの中に入っているお店がまだ大きい方。それと鐘路三街から四街へ向かう途中に何軒か小さいお店が固まっている程度でしょうか。かつてはアックジョンにもシンチョンにもあったし、ミョンドンのミドバの地下とか、チョンガにも地下に降りていくお店とか、品揃え豊富なお店が何軒もあったし、地下の商店街にも小規模なお店はあったけれど、どんどん姿を消してます。
どういうことかというと「欲しい」と思っていて見つけたものは、その場で買わないとそのまま二度とお目にかかれない可能性が低くないということです。出たばっかりで旬のものならデパートやスーパーの書籍コーナーにでさえ置いてあるけれど、少し前に発売されたものなら、再入荷はまず期待できないし、重版なんて有り得ないのが実情。その時に買わないともう巡り会えません。それでも願いがかなって出会える“セレンディピティ”のようなことはあるかもしれないけどね(よっぽど国内で日本語字幕版が出るのを待っている方が可能性高かったりして...)。
それはさておき...。

「このおっさん、若作りやけど何かで見たような気がするなぁ...」と思っていたのがキムガンウという方で、何を隠そうこの冬の大ヒット作「食客」(残念ながら未見)で主演してた人。「食客」では料理人、この「台風太陽」では、スケートは上手いけれど、生きるのにはちょっと不器用な兄貴をナイーヴに好演してます。
主人公のソヨはチョンジョンミョン、モギ(キムガンウ)のガールフレンドにチョイジン、彼女は「国境の南側(邦題:約束)」よりも軽快な役どころでこっちの方がずっと輝いてます。その他にも、こないだDVDで見た「ピーターパンの公式」に出ていたオンジュワンも出ています。

一言で表現すると、インラインスケートが縁で知り合った若者の青春成長物語り。ある意味「ピーターパンの公式」と対をなすような位置付けと言っても間違いはないと思う。ただ、こちらの方は青春の鬱屈を発散させるインラインスケートというスポーツがあり、仲間がいるところが違う。

平凡な高校生活を過ごしていたソヨ。ある日生活が一変する。父親が汚職(?)で摘発され母親とともに海外に逐電してしまう、ソヨを残したまま。
そんな時、ソヨが公園で目にしたのは、楽しそうというか、ダイナミックに公園を駆け巡るインラインスケートの集団。ソヨは自分もあんなふうに滑りたいと憧れる。眺めていると、いつも小さなビデオカメラを回しているハンジュ(チョイジン)に声を掛けられ、ソヨはこのグループの仲間に入っていく。

正直に云って、言葉の壁もあって理解度がかなり低いです。
と云うのも、彼らのインラインスケートの技術の巧拙があんまり伝わってこなかったのと、どこまで真剣なのかがわからなかった。CMのカメラ撮りを台無しにしてしまうのも、そのリカバーに奔走するのも、あまり説得力が無かったし、生活感が全く感じられないのもボクの共感を呼び起こせなかった一因かもしれないな。

ただ、スクリーンから伝わってくるのは“若さは素晴らしい!”ということ。これは間違いありません。ひと夏でこんなに成長できて、一皮むける。おっさんになったら、ひと夏過ぎるとただ疲れるだけです。
そんな鮮烈な思いを、実に爽やかに見せてくれます。うらやましいなぁ!

ムリをしてまではご覧になるまでもないかと思っていたら、日本語版のDVDも発売されているようですし、関西でももうすぐ始まる「韓流シネフェス08春」でも上映が予定されているようです。
現地で大ヒットした「食客」の日本での公開は不透明なようですが、これで一躍スターの仲間入りを果たしたキムガンウ、チョンジョンミョン、チョンイジンの爽やかで悩める青春の一ページをスクリーンでご覧になっても損はないかもしれません。それにね、字幕つきで観ると、本当はもっといいお話しかもしれませんょ。

あんにょん!