ヨコヅナ・マドンナ

ヨコヅナ・マインド



  

初めて目にしたときから、なぜか「ヨコヅナ・マインド」だと勝手に思い込んでいた。だから、映画館の窓口でも「ヨコヅナ・マインド1枚」と云ったら「○○時からのヨコヅナ・マドンナですね」と聞き返されと時に、妙に違和感を感じた(その時でもまだそう思い込んでいたのだ)。

悪くないお話しだと思うけど、元々そうなのか、それとも字幕が良くないのか、そこまではわからなかったけど、主人公の男の子がどうして同一性障害なのか、この点がまるで説明されていないというか、観ているボクに理解出来なかったのが最大の難点だった。
ここがスッキリしれば、青少年の皆さんにオススメできる作品なのか、それとも笑い飛ばせる作品(例えば「アタック・ナンバー・ハーフ」のような)なのかはっきりするのにな。その判断をこっち(観ている側)に委ねられても困るんだけど...。

韓国式の相撲“シルム”のお話し。
さえない、ちびっと太目の男の子が主人公。この子は性転換の手術を受けたいのだけど、もちろんそんなお金は無い。ある日、シルムの大会の優勝賞金がその手術代と同じだと知り、校内にあるシルム道場の門を叩く。
そこから、変な部員達と、輪をかけてヘンテコな監督との練習が始まる。果たして彼の願いはかなうのか?

道場内の人間関係も彼の複雑な家庭環境と彼の妙な性癖も徐々に明らかになる。
でも、この映画を観ながら、この高校生の彼に肩入れしてお話しを追うのかというと、決してそうではない。なんだか、映画は一方的にどんどん進み、ボクはストーリーの傍観者にしか過ぎなくなる。ここがこの映画の弱いところだ。
日本語の字幕が付いているにもかかわらず、まるでソウルの映画館で観ているような、そんな“喰いたらない”というか、痒いところに手が届かないというか、じれったさを感じる。

面白いのは確かに面白い。部員達は誰一人として高校生に見えないし、どうしてこんな人が監督なのか理解できないし、主人公のただ一人の友人は、あきっぽいというか、いつ人の道を踏み外すのか危なっかしくて見ていられない。そんな突っ込みどころは満載。
もっと面白いのは、主人公の男の子。シルムが強くなることにまるで説得力が無いところ。折角、冒頭のアリバイとでハードな肉体労働をしているのだから、あれを生かさない手はないと思うんだけど...。
また、彼の願望を周囲の人間が理解しているふうにも見えないのもね。

結局、何だかんだ云っても、ご都合主義であんまり練られていないお話しということなんでしょうか?
謎のカリスマ腹下し監督にペクユンシク(今回のこの役は彼のハマリ役です!)、唯一のまともな部員にイオン(TVドラマ「コーヒープリンス1号館」に出ていたこの方、その後交通事故で亡くなっているそうです、ご冥福をお祈りいたします)。
まぁ、時間つぶしにはご覧になってもいいと思いますが、あんまり期待しないでください。

おしまい。