ジェリーフィッシュ

暗闇の中をふわふわと漂うのは...



  

酷暑の大阪を逃げ出して飛行機に飛び乗る。その飛行機が到着したのは仙台。
「これが本当に同じ日本国内?」と思ってしまうほど、仙台は涼しかった。
ナイトゲームまで空いた時間に、街歩きや観光もせずに映画館の暗闇に吸い寄せられてしまうのは、どうしてなんだろう?

予告編だけは関西の映画館で何度も目にしていた。幼い女の子が浮き輪をしたまま走り回る姿が印象に残っていた。イスラエルの映画。
結局、極めて「示唆的」な三つのお話が画面上で展開される。政治や宗教や戦争とは関係なく、今のテルアビブという街が抱えている諸問題をさりげなく点描しているのだろうか。でも、その意図を汲み取るには、目を凝らしてスクリーンを眺め続けることはもちろん、その背景をよ〜く知っておかないと難しい。そんな素養の無いボクには、はっきり云って少々退屈なお話しであったことを正直に告白しておきます。そうなんです、まるでクラゲ(=ジェリーフィッシュ)のように、映画館の暗闇の中をふわふわと漂っていたのです...。

結婚式の披露宴などパーティを開くホールで働く女の子。彼女ははっきり云って仕事も勤務態度もおざなりで、まぁクビになっても仕方ないかなぁ...。そんな彼女が海岸で出会ったのが、件の水着姿で浮き輪をした幼い女の子。そばかすに目がくりっとしたかわいらしい子で幼稚園くらいかな。でも、何故か浮き輪をはがそうとすると大きな声を出して抵抗する...。迷子なのか、捨て子なのか?警察の対応もおざなり(まさに、ケンチャナ)だし、結局は自分の部屋に連れて帰ることになってしまう。夕暮れの海岸って、夏でもどこか淋しいものなんですね。

結婚式で大怪我をして骨折してしまった新婦。結局、新婚旅行には行けず、海岸に立つホテルに投宿することになる。新婚だというのに、通されたのは低層階で外が騒がしい部屋。新郎はいい部屋に替えてくれと交渉するもラチが空かない。そんな時、ホテルの外部階段を上がって行くと、謎の女性と出会う...。その女性は話しを聞くと、自分が使っているスゥイートとチェンジしてあげると提案。新婦はこの申し出に、二人の仲が怪しいとにらむのだが...。

フィリピンの方の家政婦を雇うのは香港だけだと思っていたら、イスラエルでもそうなのね。やり手の娘は忙しくて自分の母親の面倒を見る時間がない。従って、家政婦を雇うのだが、やって来たのはヘブライ語(アラビア語?)も理解できないフィリピンの女性。お互いの心は通じない。フィリピンの女性は街角で見かけた大きな帆船の模型を、故郷で待つ息子に送ってやろうと思うのだが...。(この娘さんの舞台は必見!です)

ラスト、海岸でアイスクリーム売りのおじさんに出会う。
そうか〜。今からでも遅くない、もう一度自分のまわりを見つめなおしてみようかな。ひょっとしたら、心のわだかまりになっていることがひとつや二つはあるかもしれない。でも、そんなトラウマ、ボクにはあるのかな?

おしまい。