永遠の魂

生と死の境界線を彷徨うのは...



  

かなり不思議なお話しが展開される。
日曜の昼下がり、大学の研究室...。舞う蝶に誘われるように階下の講義室に入ると...。
語られる夢。それは甘く切なく、そして美しいものであって欲しいもの。だけど、少し哀しく、そしてはかない。まさに春の夜夢なのか。

そして、この不思議なお話しの描き方は、実験的でもある。この映画の制作に際して、企画意図の中に、対象となる観客のターゲット・年齢層がかなり強く意識されているようだけど、それがボクには少し不明。それとも、もしかするとソウルにお住まいの方にとっては、実はかなりツボに入っているのかもしれないけど、外国人であるボクにとっては共有できるものはかなり少なかった...。従って、溢れるノスタルジィが無かったのは、残念...。

教室に誘われた教授(チョンジニョン)は、その部屋にいた学生たちからせがまれ、自身の初恋について語り始める...。
スヨン(チョンギョンホ)大学に入学し、教室に顔を出し始めた頃、流暢にドイツ語の詩を訳した女子大生。感極まって教室を飛び出していく。その後姿をあっけにとられて見送る。昼休み、スヨンはその女子大生(キムミンソン)に突然話しかけられる。その上級生の女子大生はスヨンと一日を過ごす。そして数日後、彼女はキャンパスの本館にあるテラスから、スヨンと一緒に作ったアジビラ(死語?)を撒きながら身を投げてしまう...。
どれが本当で、どれが夢なのか。その境界線を彷徨いながら“あの日、あの晩にオレは本当に死んだのか...”。

主人公のスヨンを演じるチョンギョンホ。若さを上手く演技に出していて、TVドラマよりずっといい! 謎の先輩にキムミンソン(実に不思議な魅力を見せてくれていて、彼女としては出色の出来だと思う)、これまた不思議なワインを飲む女子高生にチャスヨン(こちらも怪演で、今後が楽しみ!)、そして教授になったスヨンはチョンジニョンで、ぐっと画面を締めてくれています。この規模の作品にしては、かなり豪華な顔ぶれ。
ただ、長く記憶に残る作品かどうかは、ちびっと苦しいかな。

今回のイメージフォーラムの上映、珍しくどうも拙かった。別の人が上映前に「予告編やりますか?」と質問していたのに「15分ほどやります」と答えていたのに、いきなり本編からスタートしたのはご愛嬌としても、途中で音声が途切れた上に、場内が明るくなり別のBGMが流れる。巻き戻したものの、どこからトラブルがあったのか把握していなかったらしく中途半端。う〜む。ここにはコアなファンしか来ないだけに残念。上映終了後に招待券の配布があったものの、後味が悪く納得できなかったのも事実です。

あんにょん。