ドッグ・バイト・ドッグ

砂を噛むような話し



  

とても言葉では言い表せない。どんな言葉でもこのお話しを表現することは難しい。
観る者の口の中に苦々しい思いを噛みしめさせながら、このお話しは始まりそして終わる。

主演はエディソンチャンとサムリー。サムリーは久々に主演でしかも狂気溢れるちょっととらえどころがない役どころ。一方のエディソンチャンは「この人、こんな芝居も出来るのか」と驚愕してしまう。

この映画をどういうふうに紹介したらいいのか、うんうん唸りながら数ヶ月が経過(もちろん、それだけが原因ではないけど)。
ある意味魅力的なお話しなのだけど、もう二度と観たくないとも思う。始まりも、途中も、エンディングもその全てに救いがない。が、同時に何故かスクリーンから目が離せない。全く理解に苦しむ、苦しみながらも引っ張られていく。製作者の勝利かもしれないけれど、同時に敗退かもしれない。

香港。マンションの一室にある高級レストラン。ここで冷血漢の殺人鬼が仕事をする。拳銃をぶっ放してターゲットを射殺する。現場にやって来た刑事たちは姿を消した犯人の姿を見かけ、下町の食堂の一角に追い詰めるのだが...。そこで繰り広げられる凄惨な捕り物の末、刑事のリン(ラムシュー)を躊躇することなく殺してしまう(まだ、始まったばっかりなのにラムシューは死んでしまうのね...)。
そして、フラッシュバックのように挿入されるエピソードで、殺人鬼パンのことが次々に明らかになる。その特異な生い立ちと育った環境は目を背けたくなる...。
そして、パンが逃げ延びた先のゴミの山の中に建つ小屋である少女と出会うことで物語りは大きく動き始める...。
また、パンを追い回す刑事ワイ(サムリー)の尋常ではない行動の理由とその背景にある彼の父親との確執も次第に明らかになっていく...。

伏線が絡まりあい迎えるエンディングとは...。

誰にでもオススメできるお話しではありませんが、香港ものが好きだと思われている方にとっては観逃せない作品なのかもしれません。
でも、観ない方がいいかなぁ...。

おしまい