親切なクムジャさん

ボクもケーキに顔を突っ込んでみたい



  

気が狂いそうに忙しい日を過ごしていると、福岡へ出張でお邪魔したのが遥か彼方の出来事のように思えるなぁ...。実際に1ヵ月以上も前のことなんだけど...。
親不孝通りにあるシネテリエ天神にお邪魔するのは二度目。前回は「チルソクの夏」でした。ここの映写方法は少し変わっていて、前回はどういうふうに映しているのかわからなかったけれど、今回よ〜く観察してわかった。裏側から映写しているんだ(きっと)。どうりでスクリーンの中央がちょっとシラけている。光源とスクリーンの距離がかなり近いからこんな症状が起こるのでしょう(きっと)。
初日の初回。天神ではここだけの上映だけど、キャナルシティのシネコンでも上映されているかせいか、半分以下の入りなのはちょっと淋しかったかな。日本でも人気のイヨンエが出ているのにな。ボクは背中の筋肉痛もあり、かなり苦しい体調での鑑賞でした。

ご存知、イヨンエの主演。「オールド・ボーイ」のパクチャヌ監督の新作など話題が先行していた。ボクはこの「親切なクムジャさん」というタイトルから、このクムジャはおじさんに違いないと思い込んでいた。まさか、クムジャさんをイヨンエだとは、びっくり仰天! 思い込みとは恐ろしいものですね。
ストーリーは今更ボクが紹介する必要はないと思いますが、込み入った復讐劇。時にはあっさりコメディ風に、また時にはねっとりとしたシリアスな描写で描いている。正直に言って、観ていて楽しいお話しではないのは確か。だから、トップ・スターであるイヨンエが主演しているにもかかわらず、興行的にはそんなにヒットしなかったようですね。それも頷けます。
別に気分が悪くなる(それなら「オールド・ボーイ」の方がよっぽど後味が悪い)わけではない。でも、何だかスッキリしないのよね。イヨンエは今まで「JSA」や「春の日は過ぎゆく」などで見せていた姿とは全く違う役柄。よくまぁこんな役どころを引き受けたものだと感心してしまいました。

それにしても、どういう意図でこの映画が撮られたのだろう?
パクチャヌ監督の「復讐シリーズ」の最終回らしいけれど、その世界は「復讐者に憐れみを」「オールド・ボーイ」よりも“誰が誰を”という復讐劇が明確化されているのが特徴なような気がします。しかし、クムジャさん自身は最後の最後まで手は下さないところが、このお話しのミソなのかもしれません。
このクムジャさん。チェミンシクに対する復讐を果たすために実に入念な準備をする。
彼女が逮捕され、刑務所に収監されるまでのダイジェストは、まるで大韓航空爆破事件の金賢姫の姿を見ているような気がしました(きっと実際に金賢姫をパロっているのでしょうけど)。
そして、その周到な準備の結果は、ご覧の通り(まだご覧になっていない方は、すぐに見ましょう!)。

だけど、正直なところ、ボクはこの映画の「良さ」がもう一つ良くわからなかった。
勧善懲悪というわけでもないし、もちろんお涙頂戴でもない。観終って、スカッとするでもなく、胸に残る思いもない。特に何かを求めて観たのではないけれど、それにしても...。

見どころは、もちろんクムジャさん演じるイヨンエ、それにチェミンシクの悪辣振り。さらに、ソンガンホやシンハギュンがちょろっと出ているところでしょうか。オダルスも日本で修行したというケーキ屋の店主役で出てますね。

話題は先行していたけど、やっぱりそのストーリーのせいなのでしょうか、ロングランされることもなく、割と淋しく上映が終了してしまった。

おしまい。