ジャングル・ジュース

無鉄砲な二人組み



  

高校生や大学生が主人公を勤めるお話しもイイんだけど、韓国映画で面白いのは、社会からちょっとドロップアウトしてしまった若者の姿を描いた作品だと思う。
今回の「ジャングル・ジュース」も定職を持たず、都市の底辺でうごめいている二人。チャンヒョクとイボムス。
この二人が上下関係ではなく、チングの関係であるところがミソ。お話しそのものはたいしたことはないのだけど、スピード感はある。ボクは本筋よりも、最初の導入の部分の方が面白かったな。

言葉でこの映画のストーリーを表現するのは難しい。ムリがあるし、荒唐無稽で、ナンセンス。だけど、観ているこちらをグイグイと引っ張っていく力強さはある。そしてラストはちびっと悲しい。
ボクが思うに、少々の無茶は許してしまう風潮が韓国にはあるんだろう。無鉄砲でも、何もしないよりも、一生懸命(?)動き回る人間を評価すしようという思いが垣間見えるような気がする。実際にチャンヒョクやイボムスのような人間がいるとは思わないけどね。でも、ここまで行かなくても、ちょっと似た奴は誰の周囲にもいるんだろうな。
言葉による表現は難しいけれど、観るのは何ら難しくいない。ただ口を開けて笑っていればいいのだから...。

風俗街の底辺でウロウロしているキテ(チャンヒョク)。借金のカタにおんぼろのクルマを手に入れる。そこに現れたのが幼馴染のチョルス(イボムス)。二人とも高校は出たものの、就職もせずに街でぶらぶらしている。
そんな二人が就職の代わりに選んだ職業が、ヤクザになること。ひょんなことで事務所(?)に採用された二人は麻薬の取引現場へ連れて行かれるが...。
で、ひょんなことで手に入れた麻薬を換金すべく、途中で知り合った女と三人で、あのボロクルマに乗ってソウルをスタートする。そして、麻薬をこの二人組みが持ち逃げしたのに気付いたヤクザが追う。さらに、警察もこの二人を追いかけて釜山へ向かっていた。

ここから先は、それこそ「観てのお楽しみ」なんだけど、興奮が醒めてしまい、冷静になって思い出すと、すっかり面白さは姿を消し、支離滅裂で破天荒なこのお話しが色あせてしまうから不思議だ。いや、そんなものかもしれない。
やっぱり、大きいスクリーンで、どっぷりその世界に浸って一気に観るから、映画は面白いのだ。

面白さは“それなり”程度かな。ビデオやDVDでご覧になってもいいかもしれません。
チャンヒョクはこんなものかもしれないけれど、改めてイボムスの芸達者ぶりには驚いてしまう。大人の役から、まだ若いチンピラの役まで、実に幅広い役を飄々とこなしてしまう。
実は、脇もいろんな方が出ていて、それを探すのもこの映画の楽しみの一つかもしれません。ポンテギュとかアンネサンとかパクウォンサンね。

おしまい。