TUBE/チューブ

ソンビョンホがお株を奪う


  

最近はボクの忙しさを理由にすっかり更新が滞っています。本当にすいません。今回ようやく紹介するのは韓国の作品「TUBE/チューブ」。
この映画、韓国では公開直前にテグ(大邸)の地下鉄で大きな火災事故が発生し多くの死傷者が出たため、同じような地下鉄事故(?)を扱っているだけに公開が大幅に延期された、いわくつきの作品です。
日本でもすっかりお馴染になった(?)感があるペドゥナとキムソックンが主演。だけど、この映画の美味しいところは地下鉄の管理室長のソンビョンホが持って行ってしまったような気もします。思うに、この映画はペドゥナとキムソックンにムリシリ主人公を演じさせるのではなく、この二人を狂言回しに徹しさせ、群像劇に仕立てた方がより一層盛り上がったような気がします。若き管制官とその妻なんかは、結局撃ち捨てられていたような...、これではちょっともったいない。

ソウルの地下を網の目のように張り巡らせられている地下鉄の路線。そこを疾走する車両に爆弾が仕掛けられ、乗客を人質にして乗っ取られてしまう。地下鉄の運行をコントロールする管制管理室と犯人、そして乗り合わせたアウトローの刑事との間で虚虚実実のやり取りが繰り広げられる。

ボクが見逃していたのか、それとも説明不足だったのか...。
ボクは「送電線の電気を止めればいいやん」とずっと思っていた。さらに「なんでこんな簡単なことがわかれへんねん!」とさえ思ってイライラしていたけど、実は犯人たちは電流が止まれば爆発してしまう爆弾を仕掛けていたのね。ラスト近くまでそれを知らなかった(理解出来ていなかった)。
それと、ラストにしてもキムソックンは車両を切り離してから、そこに留まらなければならない理由はなく「飛び移ればいいやん」と思ったんやけどな。

まっ、そんな身もフタもないことはさて置き...。
かなりあっさり描かれているけれど、様々な人間模様が交錯し、それなりに見応えはある。それにスピード感もたっぷり。
真っ暗な地下の線路を最高速度で疾走する、運転手もいない地下鉄の車両は恐ろしい存在以外の何者でもない。一歩間違えれば、大阪の地下鉄だって同じような事態に陥っても不思議でもなんでもない(そうならないことを願うけど)。
ただ、ドラマとしての構成は弱いよね。キムソックンと女掏師のペドゥナとの関係は、まるでとってつけたような感じだし。犯人とキムソックンの金浦空港(懐かしいなぁ!)での銃撃戦も、正直言って意味不明。
もう少し、濃密で濃厚な何かが欲しかった。
それでも面白かったのは間違いないし、2時間近くが一気に過ぎて行ったのも事実。

重箱の隅をつつくように、敢えて難を付ければ、警察長官(?)役の人は似合っていない(迫力不足)だし、キムソックンの上司役はミスキャスト、絶対にソンジルがボクのイメージにぴったり(「浮気な家族」で郵便配達のおっちゃんの役をしていた人)。その辺もちょっと惜しかった。
地下鉄を乗っ取る犯人役にパクサンミン。この人には初めてお会いするような気がするけど、今後もっと活躍してくれそうな気がします。
まぁ、今までにないペドゥナを見ることが出来たので「よし」としようか。その割には彼女の立場もイマイチよくわからなかったけどね。

この秋に山陽道の広島ICすぐそばにある緑井の大規模ショッピングセンターにオープンしたばかりの「TOHOシネマズ緑井」というシネコンで拝見してきました。やっぱり新しいスクリーンは気持ちいいですね。祝日の夜の回だったせいか20名も入っていなかったのは、ちと淋しかったけれど、意外とこんなものなのかもしれません。ここはJR駅のすぐそばという立地だけど、そのJRは可部線というローカル路線。やっぱりクルマで行くところですかね。

おしまい。