インファナルアフェア 無限序曲

完成度が高い大人のストーリー


  

ヘビー級の作品を続けて観てしまうとは、ちょっと損をした気分。
「誰も知らない」と「無限序曲」。本当はもう少し間隔を空けて観るべきだった。
当初は「誰も知らない」に引き続き「無限序曲」を観る予定だったけれど、そうすると余分に駐車料金を負担しなければならないことがわかり、「誰も知らない」を昼前に観終わってから一旦自宅に戻り、「無限序曲」はレイトで観ることに。

正直言って、アンディラウ、トニーレオンが出演しないこの作品を軽く見ていた。
「どうせ、子供の話しやろ」って感じで、つなぎ程度だと思っていた。でも、それは大きな間違い。
この「無限序曲」だけを観ても十分に完成度が高い「大人のストーリー」が展開されている。エディソンチャンやショーンユーが主役だと思っていたけど、それは大きな間違いだった(もちろん、この二人もいいけどね)。
圧倒的な迫力とよく練られたストーリー。そしてなによりもエリックツァン、アンソニーウォン、フランシスン、カリーナラウといった芝居が出来る渋い大人の役者がきっちりと仕事をこなしている。重厚で贅沢な作品。ロイチョンの顔を見るのも久し振りだ!
エンドロールが静かに流れる中、ボクは酔いしれたようにぐったりとして映画館のシートに座りこんでいた。しびれた! 映画が終わってからも痺れが残ってすぐに座席を立てないなんて、そうそうあることではない。

これが「無間道2」として、二番目に公開されるのは何とももったいない。
ご存知だと思うけど「無間道」シリーズは三部作。去年日本で公開された「無間道」が中核をなしており、今回拝見した「無限序曲」は前作から時代を遡っている。そして、続いて公開されるであろう三作目の「終局無限」は、後日談となる。
「無間道」のアンディラウ、トニーレオンは押しも押されぬ大スタアだけど、この「無限序曲」で主演しているエリックツァン、アンソニーウォンは玄人受けする渋いスタアだ。

この無間道シリーズが「ゴッドファーザー」を相当意識しているのは間違いない。
特に今回の「無限序曲」で、ライバルたちを追い込むシーンは、そのエピソードを含めてまるで「ゴッドファーザー」を観ているようだった。
それに、随所に前作や三作目への伏線が丁寧に張られている。一度観ただけではその全てがわかるわけではないけれど「なるほど」と唸ってしまうシーンは少なくない。
こりゃ、もう一度「無間道」を観ておさらいしなければ! タイミング良くDVDも発売されているようやしなぁ。それに2005年のGWに公開されるという「終局無限」が待ちきれない(もう香港で観たけど、字幕のあるなしで全然違う!)。
このシリーズは最初から三部作を作るつもりで考えられていたのに違いない(このへんは「ゴッドファーザー」とは違う)。それがとても良くわかった。それほど良く練られた構成で、とってつけたような余分な部分がまるでない (ただ、他の人物は皆そのままで演じているのに、アンディラウとトニーレオンだけはどうして別の俳優が演じるのかな? どうでもいいけど、それはちょっと疑問。二人とも雰囲気は凄くよく伝わって来るけどね)。

この「無間道シリーズ」には、ボクの下手な言葉は何も必要ではない。
是非大きなスクリーンで、香港映画の真髄に触れて下さい。
1をまだ観ていない人も大丈夫。2だけを観ても十分に楽しめます、酔えます(それに「終局無限」の公開にあわせて1と2も再映されるでしょう、きっと)。
お観逃しなく!

さて土曜日のこの晩、109CINEMAS箕面はなんとも淋しい限り。250名ほど入れるそこそこ大きいスクリーンを使っているのに、お客さんは20名ほど。ありゃりゃって感じ。
レイトは料金も安い(1,200円均一)し、週末だからそこそこ入っていると思ってんけどな。どうしたことなんでしょう?
ちょっと理解しにくくてケチ臭い駐車場の料金システム(未だに理解できてないけど)に、かなり割高な劇場売店の飲食物の抱き合わせ販売(最低価格のジュースやウーロン茶が350円もする!)。おまけにポップコーンは機械が故障とかで販売していない。ポップコーンは仕方ないにしても、まだまだ改善の余地は大いにあると思う。そんな殿様商法で大丈夫なの?
せっかく素晴らしい施設なんだから、もっとお客さんを呼び込む工夫が必要やと思うけどな。

さて、本編上映前には「2046」の予告編が流れる。こちらも超豪華な出演陣。キムタクはいいとして、トニーレオン、マギーチャン、コンリー、チャンツィイー、ワンフェイ...、監督がウォンカーウァイだけに、この作品にストーリーや面白さを求めては“いけない”ような気もする。でも、きっと観てしまうんだろうなぁ。
また「ボクの彼女を紹介します」も、堂々日本語バージョンの予告編が上映されている。こちらは「猟奇的な彼女」コンビののクァックジェヨン監督に主演チョンジヒョン、そして相手役の男優はチャンヒョク。そうか、いよいよ年末には字幕付きでスクリーンで出会えるのか。う〜ん、楽しみだ(お客さん入るかな?)。

おしまい。