「道」 |
男と女の仲はちっともかわってない |
2004年の一番最初に観る作品はどれにしようか。話題の大型アニメ「ファインディング・ニモ」の字幕版にしようかな、なんて考えていた。すると、ふとお邪魔した十三の第七藝術劇場で「フェディリコ・フェリーニ特集」を上映するというチラシを貰った。ふんふん、フェリーニとニノ・ロータ(音楽)が組んだ作品は最高だしね、なんて思っていた。そしたら、やっぱりやるやんか「道」。 なんとも物悲しいお話し。 アンソニー・クイン演じるザンパノが海辺の小さな集落へ幌つき荷台をつけた大型単車で訪れる。かつて、この集落で買い取った娘が死んでしまったので、彼女の代わりを買いに来たのだ。選ばれたのは、死んだ娘の妹で、少し知恵遅れの少女「ジェルソミーナ」(ジュリエッタ・マシーナ)。彼女は一家の口減らしのために僅かな金額でザンパノに売られてしまった。別れの挨拶もそこそこに、ジェルソミーナは男の車の荷台に乗らされる。
ザンパノの生業は、大道芸人。彼は街角に立ち人を集め自分の芸を見せて見物料を集める、それを生活の糧にしている。ジェルソミーナはその際の助手。楽器を鳴らして雰囲気を高め、帽子でお金を集める。
献身的(盲目的?)に同行するジェルソミーナにザンパノは愛情の欠片も示さない。感謝もしない。その上、恩を仇で返し、おまけに女癖も悪い。とうとう、ある日彼女はザンパノの許から逃げ出す決意をするのだが...。
この映画には、愛だの恋だの、惚れるだの惚れたなどの言葉は一切出てこない。 観る人に感じさせ、考えさせる。そして長い、長い余韻が尾を引く。
あぁ、それにしても50年も前に撮られたこの作品。どれだけ技術が進歩して、コンピュータや携帯電話が進化しても、人間は、人間そのものは少しも変わっていないんだなぁ。 ビデオもDVDも出ています。古臭いなどと言わずに。是非、ご覧下さい。 おしまい。 |