「ヤァヤァ・シスターズの聖なる秘密」

原作を一度読んでね


  

最初はこの映画を観る予定は全く無かった。一月ほど前にこの映画の予告編を見かけて「こんな映画もあるんやなぁ」程度の受け止め方だった。それが、ふと書店さんに入り、同名の原作本があるのを見かけ、そのまま購入してしまった。結構なボリュームがある本だったけれど、なかなか面白い本だった(ちょっとついていけない部分もあったけどね)。映画を観る前に原作を読むのはボクには珍しいパターン。映画を観るのを楽しみにしていたけれど、どうやらそんなにお客さんは入っていないようだ。
ところが、ようやく順番がまわってきたこの日、梅田ガーデンシネマで受け取った整理券の番号は、なんと60番。ちょっとびっくり。結局、ちらほらと空席がある程度のほぼ満席になりました。水曜のレディースディでもガラガラだと思っていたんだけど、裏切られた! 同時上映の「the EYE」にも長蛇の列が出来ていて、これはちょっと嬉しかった。

うーん。原作の方がう〜んと面白かったなぁ。
あれだけの長編をそっくりそのまま映画に詰め込むにはムリがあるのはわかるけれど、それにしてもボクとは随分解釈が違う。それに、原作にあるいわゆる「絵になる」部分がほとんど使われていないのが残念。もっともっとヴィヴィのスター振りを前面に出して、ぶっとんで楽しくて仕方ないヤァヤァズのエピソードを盛り込まないと、なんか全体が締まらない。
唯一のクリーンヒットはゾウの背中に乗るシーンを飛行機に替えているところかな。
映画で巧いと思ったのは、女優さんの使い方。ヴィヴィが若いときとおばあさんになってからとで、アシュレー・ジャドからエレン・バースティンへ変わるんだけど、それが凄くスムーズで観ていて違和感を覚えさせない。それはヴィヴィだけでなく他のヤァヤァズのメンバーにも言える。これは二重丸です。
でも、女優さんを重視する余り、ヤァヤァズの日記が添え物の扱いになっているのが最大の不満!
この日記からにじみ出ているヤァヤァズの栄光(?)をシッダが感じ取り、ページを繰る手が止まらない、そんな風にしないと。おばあさんになってからのヤァヤァズに重い女優さんを使いすぎたかな。おばあさんヤァヤァズの出番を1/3ほどにして、回想シーンをもっともっと挟み込むべきやと思うねんけど...。

ボクにも子供が大きくなってからせる日記や60年も付き合えるような仲間がいたらなぁ。そんなことを思わせる。
そして、この物語のいいところは、当然だけど女性のみの視線で全てが描かれているところで、男性はばっさり切り捨てられている潔さ。ヴィヴィにとってジャックが戦死してしまってからは、男性はまるで視野の中に入ってこなかったんだなぁ。
映画では、ヴィヴィの旦那も出番が多いけど、原作では陰が薄いどころではない。それこそいるのかいないのかわからないほど。徹底的にヤァヤァズに絞られている。その視線が原作の良さでもあると思う。

この映画をご覧になって、そんなに面白いとは思わなかった方も、ちょっぴり涙ぐんでしまった方も是非原作をお読みになることをオススメしておきます。10倍は面白いから!
そうじゃないと、子供のころからの仲良し四人組のお話しで終わってしまう。それではちょっともったいないような気がするなぁ。

正直に言うと、主演のサンドラ・ブロックもボクのイメージからはかけ離れている。最もイメージに近いのは若い頃のヴィヴィと少女時代のシッダ(この子はかわいい!)。
原作がある映画を読んでから観るのは、やっぱりちょっとツライものがあるね。原作が面白ければ面白いほど、この傾向は大きくなりますね、仕方ないけど。
梅田ガーデンシネマで上映中。レギュラーは今週末の13日まで、14日からはモーニングのみの上映が21日まであるようです。

おしまい。