「幼なじみ」

幸せはみんなの力で


  

舞台は英国のニューカッスルからフランスのマルセイユへ。
この日観たのはフランス映画の「幼なじみ」。会場は新梅田シティのガーデンシネマ。この日が上映最終日、その最終回。9名の入り。寂しいね。

16歳の少女(クリム)と18歳の黒人の青年(ベベ)は子供の頃からの幼なじみだ。二人は、遊ぶのもイタズラするのもいつも一緒だった。そして二人は成長し、いつしか愛し合うようになる。
二人は家族に祝福されながら婚約するんだけど、その直後に青年は誤認逮捕され、拘留されてしまう。そして、少女は妊娠しているのがわかる。

お話はそれだけなんだけど、主人公のクリムがなかなかええんやなぁ。今のクリム演じる女優さんもいいけど、幼いクリム役の女の子もかわいくて良いです。

名声も財産も、もちろんお金もないんだけど、この若いカップルを見守るクリムの家族と青年の父親の「愛」にホロリとさせられます(ベベの母親と姉はちょっと変わっているんだけど)。
本人達よりもクリムの両親がチャーミング。「結婚したい」と言ってきたベベの姿に、若い頃の自分の姿を重ね合わせる。
逮捕されてしまった将来のお婿さんに対して、何もすることが出来ない自分に嫌悪を募らせ苛立ってしまう。
被害者に会うためになんとかお金を工面してサラエボまで出掛けるクリムの母親。
みんないい人(人種差別主義者の警官を除いて)。

「幸せになる」っていうのは自分の力だけで勝ち取るものだと思っていたけど、幸せは自分の力だけでどうこうなるモノではなく、家族や周囲からの暖かい心に支えられてはじめて幸せになれるものなんだなぁ、っと知らされました。
心に滲み入る佳作といえるでしょう。
クリムと彼女の独白のセリフ、そして音楽がとても効果的に使われています。
上映はもう終わってしまいましたが、ビデオででも観る機会が有れば是非ご覧下さい。

おしまい。